―「伝える」ことは、いちばん身近なセーフティデザイン―
広告の仕事は「相手に届く形に整える」ことです。商品だけでなく、思いや配慮、緊急時の意思もまた、誰かに正しく届いてはじめて力になります。世界糖尿病デーのきょう、広告の視点から “糖尿病をめぐるコミュニケーション” を考えてみます。糖尿病は特別な誰かの病気ではありません。家族、同僚、取引先、そして自分自身かもしれない。だからこそ、わかりやすく、さりげなく、でも確実に伝える設計が必要です。
目次
なぜ「伝える設計」が要るのか
糖尿病は見た目でわかりにくく、本人も「迷惑をかけたくない」と口をつぐみがちです。しかし、低血糖時は迅速な対応が命綱になります。「知らせる仕組み」があるかどうかで、周囲の行動が秒単位で変わる。広告でいう認知→理解→行動の導線を、日常に組み込んでおくことが大切です。
個人にできる“広告化”の工夫(ミクロ・デザイン)
- ワンフレーズ・カード 名刺サイズでOK。
- 表:「持病があります(糖尿病)。低血糖時:砂糖やジュースをください。会話が難しいときは119と緊急連絡先へ。」
- 裏:氏名/緊急連絡先/かかりつけ医/服薬・インスリンの有無。 文字は大きく、漢字+かなで冗長さを恐れず。アイコン(カップ、電話、救急)で直感補助。
- スマホのロック画面&医療情報 ロック画面に短い救助テキストを壁紙化。ヘルス系アプリのメディカルIDも更新しておくと、第三者が迷わずアクセスできます。
- 身につけるサイン ブレスレットやタグ、社員証ストラップに小さな医療マーク。派手さは不要でも、誰が見ても意味が一意であることが条件。
- インスリン注射の可視化メモ 「医療目的の自己注射を行います」の小札を携行。誤解や声掛けを防ぎ、本人の心理的負担を下げる“予防コミュニケーション”。
- 定型文の“音声版” 緊急時に自分で話せないことも。スマホに15秒の定型音声を録音(「私は糖尿病です。低血糖かもしれません。砂糖やジュースをお願いします。119と◯◯へ連絡を…」)。押すだけで伝わる。
周囲・組織にできること(マクロ・デザイン)
- 社内の“合図”を標準化 会議室・休憩スペースに「低血糖時対応のミニ手順」を掲示:
- ①声かけ(反応確認) ②糖分摂取を補助 ③回復確認 ④必要なら119・家族連絡。 難しい言葉を排し、大きい数字+短文+ピクトで。
- 休憩・飲食の“権利表示” ルール化だけでなく、見える化が重要。デスクに置く小さなカード「医療上の理由で随時補食可」を社内標準にすれば、遠慮が消えます。
- ブルーのサインを年中使う 世界糖尿病デーの象徴色は“ブルー”。社内サイネージや掲示物でブルーを使い、年に一度の広報にせず“通年のリマインド”へ。
- 言い回しのガイドライン ×「自己管理ができていない」→ ○「調整が難しい状況がある」 ×「特別扱い」→ ○「医療上の配慮」 言葉は行動を決めます。スティグマを生まない語彙を明文化。
伝わるコピーの原則(広告の基礎を医療文脈に)
- 短く、具体的に、行動に直結 「低血糖のときは砂糖5~10g」など、必要量を数字で。
- 主語は“私”ではなく“あなた”へ 「あなたにお願いしたいこと:ジュースを1本ください」。読む人を行動主体に。
- 1画面=1メッセージ カードやポスターは情報を欲張らない。要点→詳細→参照の三層で。
現場で使える“そのまま文例”
- 携帯カード/ロック画面 「私は糖尿病です。低血糖の可能性があります。砂糖やジュースをお願いします。会話が難しい時は119と**(緊急連絡先:◯◯)**へ連絡してください。」
- 社内掲示 「医療上の理由により、勤務中でも随時補食・水分補給可。見かけたら声かけと見守りをお願いします。」
- 会議招集メールのひと言 「参加者に持病配慮(補食可・退席可)の運用をしています。ご協力ください。」
誤解を避けるビジュアルのコツ
- 色の役割分担:行動喚起は“強調色”、医療の安心は“ブルー”。
- アイコンは普遍的に:国籍・年齢に左右されないピクトを。
- 可読性最優先:最小12pt以上、背景と文字のコントラスト比を確保。
- 置き場所が8割:カードは財布の最前面、掲示は目線の“停滞点”(出入口・エレベータ前)。
最後に
糖尿病は、静かで長い時間を生きる病です。だからこそ、派手な告知より**“日常に溶けた伝達設計”が効きます。本人が安心して「助けを求められる」、周囲が迷わず「助けに回れる」。広告の力は、売るためだけではなく人を守るため**にも使える。きょうの「伝える」を、明日からの標準に。
(※本稿は一般的な情報提供です。体調・治療については必ず医療専門職にご相談ください)
(広報担当)