広告は、広告だと分かる形で伝える。
ステルスマーケティング規制が始まってから、SNS投稿、口コミ風の記事、レビュー、紹介文などの広告表現は、以前よりも慎重に考える必要が出てきました。
ただ、これは「広告がやりにくくなった」という話ではないと思います。むしろ、広告であることを隠さず、読んだ人にきちんと判断してもらう表現が、これからはより大切になるということです。
派手な言葉で引きつけるより、伝えるべきことを正直に整理する。
その方が、長い目で見ると信用につながります。
目次
ステマ規制で気をつけたいのは「広告だと分かるかどうか」
ステルスマーケティングとは、簡単に言えば、広告であるにもかかわらず、広告ではないように見せる表現です。
たとえば、次のようなケースは注意が必要です。
- 依頼を受けた投稿なのに、個人の自然な感想だけに見える
- 報酬や商品の提供があるのに、その関係が分からない
- 事業者側が内容に関わっているのに、第三者の口コミのように見える
- 「おすすめ」「使ってよかった」だけが先に出て、広告であることが伝わらない
読者や消費者は、広告だと分かっていれば、その前提で内容を受け取ります。
でも、広告だと知らないまま読むと、判断材料が変わってしまいます。
ここが問題です。
「広告」と書いたら負け、ではない
広告表現を考える現場では、「広告っぽく見えると読まれない」という意識が出ることがあります。
気持ちは分かります。
いかにも宣伝らしい言葉ばかりが並ぶと、読む側は少し身構えます。
でも、だからといって広告であることを曖昧にするのは、今の時代には合いません。
むしろ大切なのは、広告であることを明示したうえで、内容をきちんと読んでもらえる形に整えることです。
たとえば、同じ商品紹介でも、
- 何が便利なのか
- どんな人に向いているのか
- 反対に、どんな場合は合わないのか
- 使う前に確認しておきたい点は何か
ここまで書かれていると、読み手は判断しやすくなります。
個人的には、良い広告ほど「売り込み」よりも「整理」に近いと思っています。
情報が整っているから、選びやすい。
選びやすいから、信頼される。
その順番です。
SNS、チラシ、ポスターでも考え方は同じ
ステマ規制というと、SNSやインフルエンサー投稿の話に見えがちです。
でも、広告表現の考え方としては、チラシ、ポスター、Webページ、店頭POP、キャンペーン告知にもつながります。
たとえば、キャンペーン告知なら、
「今だけお得!」
だけでは少し弱いです。
期間、対象、条件、注意点が分かるようにしておく。
小さな文字で詰め込むのではなく、見出し、本文、注釈の役割を分ける。
見る人が誤解しそうな部分は、あらかじめ言葉を足す。
地味ですが、こういう調整がかなり大事です。
デザインでも同じです。
目立たせる場所と、正確に読ませる場所は違います。
全部を大きくすると、結局どこも読まれません。
広告らしさを消すのではなく、広告として読みやすくする。
この感覚が必要だと思います。
信頼される広告表現のポイント
ステマ規制後の広告表現で意識したいポイントを整理すると、次のようになります。
- 広告・PR・協賛などの関係性を分かりやすく示す
- 誰の発信なのかを曖昧にしない
- 体験談風の表現を使うときは、事実との距離感に注意する
- メリットだけでなく、条件や注意点も見える場所に置く
- 誇張した言葉より、具体的な情報を優先する
- 読んだ人が誤解しそうな表現を避ける
特に「お客様の声」「口コミ」「レビュー風の紹介」は、見せ方に気をつけたい部分です。
本当に利用者の声であっても、編集の仕方によって印象は変わります。
一部だけを切り取ると、実際より良く見えることもあります。
広告は、伝え方ひとつで信頼にも不信感にもつながります。
だからこそ、言葉選びは軽く扱えません。
これからの広告は「正直さ」もデザインの一部になる
広告制作では、文字の大きさ、色、写真、レイアウト、余白などを考えます。
でも今後は、それに加えて「この表現は誤解されないか」「広告であることが伝わるか」も、デザインの一部として考える必要があります。
正直に書くと、広告の表現は年々むずかしくなっていると感じます。
強く言いすぎると誇大に見える。
控えすぎると伝わらない。
分かりやすくすると単調になり、凝りすぎると意味がぼやける。
その中で大事なのは、見た目のインパクトだけに頼らないことです。
伝えるべきことを隠さない。
読者が判断できる情報を置く。
広告だと分かる形で、それでも読みたいと思える表現にする。
これが、ステマ規制後の広告に求められる基本だと思います。
広告は目立てば終わりではありません。
読んだあとに、信頼が残るかどうか。
そこまで含めて、これからの広告表現を考えていきたいところです。
(広報担当)