トヨタの新型車両も登場。急加速する「電動モビリティ」と、私たちの生活の変化

コラム

トヨタ自動車から、昨日5月14日に免許なしで乗れる新しい電動モビリティ「ランドホッパー」の発売が発表されました。さらに、配送やちょっとした荷物の運搬に便利なBLAZEの「e-CARGO(イーカーゴ)」や、キャビン付きで雨の日でも快適な移動を実現する「Lean3(リーン3)」など、これまでの枠にとらわれないスタイリッシュで利便性の高い新型車両も、相次いで市場への投入が予定されています。
新しい移動手段が次々と登場し、私たちの「生活の変化」はかつてないスピードで進んでいます。一方で、歩道や車道には多様な乗り物が溢れかえり、歩行者や自動車との安全な共存という、見過ごせない大きな課題が浮き彫りになっていると感じます。


自転車ルールの変化と、社会の戸惑い

先日、道路交通法の改正が施行され、自転車は原則として車道を通行することがさらに厳格化・明確化されました。自転車のナビマークが車道に描かれるなど、目に見える変化も起きています。しかし、実際の街の風景はどうでしょうか。

  • 「自転車は具体的にどこを走ればいいのか」と迷い、交差点で立ち往生する人々
  • 車道への進入に恐怖を感じて、これまで通り歩道を走り続ける人々
  • そもそも法改正の事実自体に気づいておらず、ルール変更を知らない人々

このように、社会全体のリテラシーや物理的なインフラ整備が、法律の変更に追いついていない場面を頻繁に目にします。新しい交通ルールが人々の常識として定着し、全員がスムーズに行動できるようになるには、かなりの時間と根気強い啓蒙が必要になるものです。
しかし、そのルールの浸透を待つことなく、電動モビリティの規制緩和と普及はどんどん前へ進んでいます。

今、私たちの周りの道には、従来の自転車や電動アシスト自転車に加え、Luupなどに代表されるシェアリング型の電動キックボード、さらには電動車椅子やシニアカーなど、スピードも車体の大きさも異なる多様な乗り物が混在しています。これほど多くの、そして性質の違う乗り物が同じ空間を行き交う状況を見ると、すべてが安全に共存するのは非常に難しいことだと痛感します。


未来感のある生活と、現実のジレンマ

もともと、相次ぐ法改正や規制の変更の根本的な目的は、歩行者を含めた公衆の安全を確保し、誰もが快適に移動できる社会環境を整えることにあります。

しかし、現実の生活空間では、不安や危険を感じる場面も少なくありません。操作を誤って車両を急発進させてしまったり、人通りが多い場所で周囲の状況を見ずに危険なスピードを出してしまう利用者が一定数存在するのは紛れもない事実です。
現在のLuupなどの特定小型原動機付自転車をはじめ、これからの新しい電動モビリティには、歩道を通行する際の安全措置として「時速6kmモード(最高速度表示灯の緑色点滅)」などが法律で厳格に義務付けられています。しかし、利用者の良心や手元の操作に委ねられている部分も大きく、この速度制限が日常のあらゆる場面で厳密に守られ続けるのかどうか、懸念を抱かずにはいられません。

テクノロジーの進化により、私たちの生活は驚くほど便利になり、まるでSF映画に登場するような未来感のある風景が日常になりつつあります。その一方で、それを利用する人間の認知や、社会全体のモラル、交通マナーの醸成が、技術の進化スピードに全く追いついていないように思えてなりません。


モビリティが溢れる時代の「豊かさ」とは

免許不要の新しい電動モビリティは、間違いなく個人の移動の自由度を劇的に高めます。免許を持たない若年層の行動範囲を広げたり、運転免許を自主返納した高齢者が買い物や通院に行くための新たな足となったりと、私たちの暮らしを根本から豊かにする大きなポテンシャルを秘めています。特に、地方都市や交通の便が良くない地域においては、まさに救世主となる技術だと感じます。

それでもなお、技術の進歩や利便性の追求だけが先行してしまえば、歩行者が安心して外を歩けないような、本末転倒な社会になりかねないと感じています。
新しい道具をどのように社会システムに組み込み、お互いが安全に、そして気持ちよく道を共有していくのか。自転車専用レーンなどのインフラ整備を急ぐことはもちろんのこと、利用者一人ひとりの意識のアップデートが強く求められています。

私たちの生活はこれから先、いったいどうなっていくのか、深く考えさせられます。
次々と新しいモビリティが街に溢れ出している今こそ、ただ便利さを手放しで受け入れるだけでなく、歩行者も多様なモビリティの利用者も共に共存できる「道」のあり方について、社会全体で立ち止まり、真剣に模索していく時期に来ています。社会も人々も同じ道を進んでいるのですから。

(広報担当)

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