――セロトニンと「冬季うつ」をやさしくケアするコツ
12月は、街がきらびやかになる一方で、なんとなく気持ちが沈みやすい時期でもあります。
日照時間が短くなり、寒さで外に出る機会も減り、
- やる気が出ない
- ずっと眠い
- 甘いものばかり欲しくなる
といった変化を感じる人も少なくありません。
この背景には、気分を安定させる神経伝達物質「セロトニン」や、体内時計を整えるホルモンのリズムが関係していると考えられています。特に、毎年冬になると同じような落ち込みが強く出る場合、「冬季うつ(季節性うつ)」と呼ばれる状態の可能性もあります。
目次
冬季うつと「なんとなく憂うつ」の違い
冬になると「ちょっと気分が乗らない」程度の変化は、多くの人が経験するものです。
一方で、季節によってうつ症状が繰り返し現れる「冬季うつ」には、次のような特徴があると言われています。
- ほとんど一日中、ほぼ毎日、強い気分の落ち込みが続く
- 寝ても寝ても眠い(過眠になりやすい)
- 体が重く、何をするにもひどくおっくう
- 炭水化物や甘いものへの強い食欲が出る
- これらが「秋〜冬に始まり、春になると軽くなる」ことを毎年繰り返す
仕事や家事が手につかない、人付き合いがほとんどできないレベルで続く場合は、一人で抱え込まず、医療機関や専門家への相談が勧められています。
セロトニン不足になりやすい冬のからだ
セロトニンは、気分の安定や集中力に関わる物質で、「幸せホルモン」と呼ばれることもあります。
このセロトニンは、
- 日光
- 適度な運動
- リズムのある生活
によって働きやすくなることが知られています。
ところが冬は、
- 日照時間が短くなる(朝も暗く、夕方も早く暗くなる)
- 寒さで外出や運動が減る
- 忘年会や年末進行で生活リズムが乱れやすい
といった条件が重なり、セロトニンが活性化しにくい環境になりがちです。
その結果として、気分の落ち込みやだるさが強まりやすいと考えられています。
12月に意識したい「冬季うつ」予防の習慣
ここからは、今日から取り入れやすい「冬のメンタルケア」のポイントをまとめます。
どれも完璧にやる必要はなく、「できそうなものを1つだけ」からで十分です。
1. 朝の光を意識的に浴びる
冬はどうしても外が暗く、「起きてもスイッチが入らない」という感覚になりがちです。
- 起きたらまずカーテンを開ける
- 可能なら、午前中に10〜30分ほど外を歩く
- ベランダや玄関先で、息抜きがてら空を見上げる
こうした「朝の光」が、体内時計のズレを整え、眠気を促すホルモンとセロトニンのリズムを調整する助けになると考えられています。
本格的なライトを使ったケアは医療機関で相談しながら進めるのが安心ですが、まずは自然光を活用するだけでも、気分の底上げにつながりやすくなります。
2. 「毎日少しだけ動く」を目標にする
運動は、うつ症状全般の軽減に役立つことが多く報告されています。
季節による気分の落ち込みに対しても、体を動かすことは良い影響をもたらすとされています。
とはいえ、冬にいきなり激しい運動をする必要はありません。
- 通勤や買い物のときに「一駅分だけ歩く」
- エレベーターではなく階段を使ってみる
- 寒い日は室内でラジオ体操やストレッチだけでもOK
「運動」というよりも、「からだを揺らす」「関節を大きく動かす」といった感覚で、毎日10〜15分だけでも続けることが大切です。
3. 生活リズムを「冬仕様」に整える
日が短くなる冬は、つい夜更かしをしがちですが、睡眠リズムの乱れは、気分の波を大きくする要因にもなりえます。
- 寝る・起きる時間を、平日と休日で大きくズラさない
- 寝る1時間前からはスマホやPCの光を少し減らす
- 寝る前に、ゆっくりお風呂に入る・軽くストレッチをするなど「お休み前の小さな儀式」を決めておく
「毎日同じリズムで過ごす」こと自体が、心とからだの安心材料になります。
4. セロトニンの材料になる食事を意識する
セロトニンの元になるのは、たんぱく質に含まれるアミノ酸です。
肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などに多く含まれているため、冬こそ「たんぱく質をしっかり摂る」ことを心がけたいところです。
たとえば、
- 温かいスープに豆腐や卵を入れる
- 朝食にヨーグルト+バナナを足す
- 鍋料理に魚や肉と豆腐、野菜をたっぷり入れる
といった「冬らしいメニュー」に少し意識を向けるだけでも、心とからだのエネルギー源になります。
甘いものに手が伸びやすい時期ですが、「まずはごはんとおかずをきちんと食べる」ことを優先すると、血糖値の急な上下が抑えられ、気分の安定にもつながりやすくなります。
5. 人とつながる予定を、あらかじめ入れておく
冬は「家から出るのが面倒」「人と会うのが億劫」という気持ちが強まりやすい季節です。
しかし、人との交流や会話は、気分の落ち込みを和らげる大事なクッションになります。
- 週に一度だけでも、誰かと電話やオンラインで話す
- 年末年始のあいさつを兼ねて、「短時間だけ会う約束」をしておく
- 行けなさそうな日は無理をしない代わりに、「メッセージだけ送る」という形にする
「ちゃんと会わなきゃ」と思いすぎず、「声だけでもつながる」くらいのゆるさで、人とのつながりを保っておくことが大切です。
それでもしんどいときは、「専門家に相談するサイン」
ここまでご紹介した方法は、あくまでセルフケアのアイデアです。
次のような状態が2週間以上続く場合は、季節性かどうかにかかわらず、一度医療機関(心療内科・精神科・かかりつけ医など)に相談する目安とされています。
- 朝、ベッドから起き上がれない日が多い
- 仕事や家事、育児がほとんど手につかない
- 食欲が極端に増えた/減った
- 「消えてしまいたい」といった思いが頻繁によぎる
冬のメンタルの不調は、決して「気の持ちよう」だけで片づけられるものではありません。
光の量、体内時計、ホルモンバランスなど、からだの仕組みと深く関わっていることが、さまざまな研究からも分かってきています。
12月は「がんばりすぎない」と決めてみる
一年の締めくくりである12月は、仕事もプライベートも「ラストスパート」になりがちです。だからこそ、
- 予定を詰め込みすぎない
- 「今年中に完璧にやること」を少し減らしてみる
- 自分にとって心地よい時間(お茶を飲む、音楽を聴く、ゆっくりお風呂に入る など)を意識して確保する
といった「心のスペース作り」をしてあげることが、セロトニン不足の冬を乗り切る支えになります。
12月は、からだを冷やさず、心を追い詰めず、「少しペースを落としていい月」と決めてしまうくらいで、ちょうどいいのかもしれません。
(広報担当)