こんにちは。アサヒ宣伝です。
今回はちょっと専門的ですが、看板づくりに欠かせない「色」の話をしたいと思います。
看板や屋外広告に関わっていると、「色が合っていない」「チラシと色味が違う」など、仕上がりに関する悩みを耳にすることがあります。
こうしたズレを防ぐために、私たちが現場で頼りにしているのが「マンセル値」です。
一見、理科の教科書に出てきそうな言葉ですが、実は街の看板にも深く関わる大事なルールなんです。
目次
マンセル値ってなに?
「マンセル値」とは、アメリカの美術教師アルバート・マンセルが考案した色を数値で表す方法のことです。
デザイン業界では「マンセル表色系」とも呼ばれています。
色を「色相」「明度」「彩度」という3つの成分に分解し、それぞれに数字を割り当てることで、感覚ではなく“理屈”で色を表現できるようになります。
たとえば、「5YR 7/10」というマンセル値があったとしたら:
- 5YR → 色相(Yellow Red=オレンジがかった赤)
- 7 → 明度(どれくらい明るいか)
- 10 → 彩度(どれくらい鮮やかか)
これだけで、どの職人さんにも「この色でお願いします」とズレなく伝えることができるんですね。
なぜマンセル値が看板に必要なのか?
色は「見た目」じゃ伝わらない
たとえば、クライアントから「この赤で!」と見本を渡されたとしても、それを再現する方法は印刷・塗装・フィルムと複数あります。
ところが、それぞれの素材や加工方法によって、色の出方が少しずつ変わるんです。
このとき、「赤っぽい」とか「もうちょっと濃い感じ」といった感覚的な指示では限界があります。
色の基準が人によって違うからです。
だからこそ、「赤」の中でもどの赤なのか? を明確にできるマンセル値が重要になってくるんです。
行政ルールのチェックにも便利
地域によっては、屋外広告物条例で色の制限が設けられている場合があります。
特に京都や奈良など、景観保護に厳しいエリアでは、「原色禁止」や「彩度○以下」など具体的なルールが存在します。
たとえば、「彩度は8以下でお願いします」と言われたときに、マンセル値で「5R 4/14」のような高彩度の赤を出すと、条例違反になります。
こうしたケースでも、数字で色の強さや明るさを判断できるマンセル値が役立つわけです。
現場での使い方:こんなときに活躍してます
● ロゴカラーの正確な再現
クライアントから「うちのコーポレートカラーはこの色」と指示される場面、よくあります。
その色を印刷用のCMYKに変換しただけでは、塗装やインクジェット出力では再現できない場合もあるんですね。
● 色ズレの原因分析
「なんかイメージと違うな…」というクレームが入ったときでも、マンセル値が基準にあれば修正の方向が明確です。
- 明度が1段階高すぎる?
- 彩度が落ちている?
- 色相が微妙にズレてる?
こうした数値での比較ができるからこそ、早く、正確な調整が可能になるんです。
デジタルデータとどう違うの?
「じゃあRGBやCMYKで良いんじゃないの?」という声もあるかもしれません。
確かにパソコンや印刷業界ではRGB・CMYKが一般的ですが、屋外広告は紙ではなく看板素材が主役です。
アルミ板、アクリル板、ラミネートシート、塗料など、素材の違いによって色の出方が変わります。
このとき、マンセル値は人間の目の見え方に基づいた基準なので、印刷・塗装問わず、幅広く使えるんですね。
色の話は、「曖昧さ」をなくすところから
屋外広告の仕事をしていると、つくづく思うのが
「色のズレは、信用のズレにつながる」ということです。
看板の色が、ロゴと違っていたり、イメージよりもくすんで見えたりすると、お客様が持っているブランドイメージが壊れてしまうこともあります。
私たちアサヒ宣伝では、看板という「街の顔」をつくる立場として、色の設計にもこだわりたいと考えています。
最後に
デザインも色も「センス」で語られがちですが、
プロの現場ではセンスに加えて「数値の裏付け」が欠かせません。
「この色で、間違いない」
と胸を張って言える看板をつくるために、マンセル値は私たちの頼れる道具です。
もし、
- 色合わせがうまくいかない
- 思った通りの色が出ない
- 施工業者とのやりとりで困っている
そんなお悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。
(広報担当)