ここでは出版業界において頻繁に使用される専門用語を、実務背景とともに丁寧に解説します。
用語と解説
- 校正:原稿や組版された文章に誤字脱字や誤用がないかを確認・修正する工程。印刷前の品質管理の要。
- 校閲:文章の内容や事実関係、文法、表現の正確性を検証し、より高度な知識や専門性が要求されるチェック工程。
- 組版:原稿を読みやすく美しく整えるために文字や図版の配置を決め、紙面をレイアウトする作業。
- 版下:印刷の元になるレイアウト済みの完成原稿。DTPデータや手作業で作成されたものも含む。
- ゲラ:印刷用に組版された紙面の試し刷り。校正用に使われる。初校・再校など複数段階ある。
- 初校:初めて出される校正刷り。原稿と突き合わせて誤植やレイアウトのミスを確認する。
- 再校:初校の修正後に再度出されるゲラ。修正漏れや新たなミスを再確認する段階。
- 三校:三度目の校正。最終確認に近いが、まだ修正が入る可能性がある。
- 校了:「校正完了」の略で、修正を終え印刷工程に進んでよい状態。以後の変更は不可。
- 責了:「責任校了」の略。著者や編集者が立ち会えず、編集部が責任を持って校了すること。
- 入稿:印刷所に対してデータや原稿を提出すること。電子入稿が一般的になっている。
- データ入稿:DTPソフト(InDesignなど)で作成したデータを印刷所に渡す形式の入稿。
- 完全データ:修正が不要な完成済みの印刷データ。フォントのアウトライン化や塗り足しの処理がされている。
- 印刷所:実際に印刷機器を用いて紙面を刷る業者。オフセット印刷やオンデマンド印刷などに対応。
- 印刷工程:製版・刷版・印刷・乾燥・断裁・製本といった一連の流れ。
- 断裁:印刷物を所定のサイズに裁断する作業。ズレ防止のため塗り足しが必要。
- 製本:印刷された紙を綴じて1冊の本に仕上げる工程。中綴じや無線綴じなど方式がある。
- 中綴じ:紙を重ねて二つ折りにし、中央をホチキスで綴じる製本方法。ページ数が少ない冊子に適する。記念誌などにもよく使われる。
- 無線綴じ:背を接着剤で固める製本方法。雑誌や書籍によく使われる。
- 平綴じ:紙の端をステープルで綴じる簡易的な方法。報告書やマニュアルに用いられる。
- 表紙デザイン:本の第一印象を決定づけるデザイン。装丁の一部としてブランディング上も重要。
- 見出し:章・節ごとの内容を示すタイトル。読者のナビゲーションの役割も果たす。
- 扉ページ:章の始まりにある飾りページ。タイトルやビジュアルが中心で本文は含まない。
- 奥付:「おくづけ」と読みます。本の最後に掲載される出版情報。発行日・著者・発行者・印刷所などが記載される。
- 目次:各章や節のタイトルとページ番号を一覧化したページ。本文の構成を理解するために有効。
- 索引:本の内容をキーワードで引けるようにしたリスト。読み返しや検索性向上に貢献。
- JANコード:出版物の商品管理用のバーコード。書店での販売時に使用される。
- 発行日:書籍の正式な発行日。奥付に明記される。
- 配本:書店や流通業者に向けて出版物を分配・出荷すること。
- 書影:書籍の表紙画像。ネット書店などでの販促に使われる。
- 裏表紙(バックカバー):書籍の背面にあたるカバー部分。要約や価格、ISBNなどが表示される。
- 帯(おび):カバーの上から巻く広告紙。推薦文やキャッチコピーで購買意欲を喚起する。
- 書評:専門家や読者による書籍の評価。販促・信頼性強化につながる。
- 書き下ろし:雑誌掲載ではなく、初めて書籍として発表される新作。
- 印税:著者に支払われる出版物の売上に応じた報酬。契約により率は異なる。
- 著作権:著作物に関する法的保護。出版・転載などにおいて重要な権利。
- 著者校正:著者自身が行う校正。内容の精度確認と最終責任の意味を持つ。
- モノクロ印刷:黒一色による印刷。費用が安く、文字主体の出版物で多用される。
- フルカラー印刷:CMYK4色によるカラー印刷。ビジュアル要素の多い雑誌などに使われる。
- RGB/CMYK変換:ディスプレイ表示用のRGBカラーを印刷向けのCMYKに変換する作業。色の再現性に注意。
- 紙面構成:レイアウトや要素の配置など紙面全体の構成設計。読みやすさと視線誘導が重視される。
- 編集会議:出版物の方向性や構成を編集部で決定する打ち合わせ。企画・進行管理の中心。
- 編集プロダクション:編集・校正・デザインなどを請け負う専門企業。出版社の外部委託先として機能。
- 書籍編集者:出版企画の立案から原稿整理、進行管理、校正までを統括するプロフェッショナル。
- 電子書籍(EPUB):紙媒体を電子化した出版物。リフロー型・固定レイアウト型など形式がある。有名なところでは、Kindleなど。
- ノンブル:ページ番号のこと。デザイン上の要素としても扱われる。
- インデント:段落の最初を字下げする処理。視認性と可読性を高めるために用いられる。
- 禁則処理:句読点やカッコが行頭に来ないようにするルール。日本語組版特有の処理。禁則処理は、非常に複雑な設定が可能である。大手出版社では、ルールが決められている。
- ルビ:漢字に振る小さなふりがな。児童書や学習書などで使われる。
- 縦中横:縦書きの文章中に横組みの数字や英字を自然に表示する処理。
- カンプ(カンプデザイン):完成予想図として提示される仮のデザイン案。正式な入稿前に、クライアントや社内で内容やレイアウトの確認を行うために用いられる。印刷物だけでなく、Webや広告デザインでも幅広く使用される。語源は英語の「comprehensive layout(略してcomp)」。
みなさん、いかがでしたか。
何か発注する際に、専門用語が出てくる場合がありますが、わからない場合は、ぜひお尋ねください。
(広報担当)