コンビニのデジタルサイネージが本気になってきた——ファミマとセブンの戦略から見えるもの

コラム

コンビニ店内のデジタルサイネージが、「なんとなく目に入るもの」から、データと連動した本格的な広告メディアへと急速に変わりつつある。その先頭を走るのがファミリーマートとセブンイレブンだ。前者は「メディアコマース事業」、後者は「リテールメディア事業」とそれぞれ名称も戦略も異なる形で展開しており、デジタルサイネージの可能性を大きく広げるものとして注目している。


ファミリーマートのメディアコマース事業——「ファミマTV」が示す進化

ファミリーマートは2026年4月、店内デジタルサイネージ「FamilyMartVision」を「ファミマTV」に改称した。単なるリブランドではなく、「身近な生活動線上の放送局」という位置付けに踏み込んだ宣言だ。現在の設置規模は全国1万店超で、1週間に最大6,400万人へリーチできる広告プラットフォームに育っている。広告収入は2021年度比で約70倍に拡大する見通しで、現在約150億円の事業規模を2030年度に400億円へ引き上げることを目標に掲げている。

注目したいのがファミペイとの連動だ。店頭サイネージ・ファミペイへのデジタル広告・売り場の販促物を同タイミングで展開する「売場連動企画」により、認知から購買までをつなぐ仕組みを構築している。実際に「ファミチキ×コーラ」の組み合わせ購買がリテールメディア施策で7倍に伸びた事例もあり、データ連動の威力は数字として出始めている。


セブンイレブンのリテールメディア事業——電通・サイバーと組んで本格始動

セブンイレブンは2026年6月11日、電通およびサイバーエージェントとの3社合弁で新会社「セブン-イレブン・アドコネクト」の設立を発表した(9月設立予定)。約2,800万人のアプリ会員基盤と店舗サイネージを掛け合わせ、広告配信から購買効果の検証までを一体で提供するリテールメディア事業だ。

デジタルサイネージの展開状況は現在首都圏を中心に約3,700店舗で、2026年9月以降は関東・東海エリアを中心に約8,700店舗への拡大を計画する。2030年度の事業収益目標は200億円に設定している。

事業の核になるのがPOSデータとアプリデータを活かしたリアルタイム配信だ。時間帯・天候・在庫状況をリアルタイムで取り込み、「誰に・何を・いつ届けるか」を動的に変えられる広告配信を目指す。購買後のデータまで含めた効果測定が可能になることで、広告主にとっての投資対効果が可視化される仕組みだ。


「見せるだけ」から「行動を変える」メディアへ

両社に共通するのは、デジタルサイネージを単体の媒体として扱わず、アプリや購買データと連携した「プラットフォーム」として育てている点だ。

これまでのサイネージは、見た人が実際に何かを買ったかどうか、測定が難しかった。しかしコンビニのリテールメディアでは、サイネージ視聴から購買行動までを一本の流れとして追跡できる。「見たかもしれない人に届ける」広告から、「確実に届く人に届ける」広告へ——この転換は、デジタルサイネージが持つ可能性をまるごと更新するものだと思う。


デジタルサイネージの活躍に期待する

ファミリーマートとセブンイレブンがそれぞれ異なるアプローチで動き出したことで、コンビニのデジタルサイネージは「業界標準の広告媒体」としての地位を固めつつある。こうした流れは、ドラッグストア・スーパー・駅ナカなど生活動線上のあらゆる場所へと広がっていくはずだ。

スクリーンがデータを動かし、データが購買を変える——そんなデジタルサイネージの本領が発揮される時代が、ようやく始まったと感じている。この波が地域の中小企業にとってどんな可能性を開くか、引き続き注目していきたい。


(広報担当)

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